当記事では「公休」について解説します。
なんとなく使われがちな「公休」という言葉ですが、労働者としてその意味を知っておくのは大切。ぜひ当記事で休日に関する基礎知識を学んでいって下さい。
公休とは
公休とは会社ごとの就業規則で規定されている、従業員全員に平等に与えられている休日のこと。会社側が「この日は公休です」と日時を指定しており、従業員はその通りに休むことになります。
わかりやすいシーンだと、求人票に記載されている年間休日の日数が、その会社における一年あたりの「公休」の日数になります。
有給休暇や特別休暇などとは違い、特に申請しなくても当然与えられる休日だけを公休と呼ぶので注意しておいて下さい。
ちなみに英語では、公休のような当然与えられる休みを「day off」と言います。
馴染みのある「holiday」はバカンスをイメージさせる言葉ですので、普通に「明日休みだ」と伝えたいときは「It’s my day off tomorrow」と表すと良いでしょう。
公休の内訳
公休の中には、法律で定められている「法定休日」と、企業が独自に設定している「法定外休日(所定休日)」が存在します。
法定休日とは、法律で定められている休日のこと。毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を設定することが義務付けられており、最低の年間休日日数が52日(年により53日)になります。
もう一方の法定外休日(所定休日)とは、会社が独自に設定している休日のこと。例えば「祝日休み」や「土日休み」などの設定は、あくまで会社の制度によります。
公休の最低日数
企業が定める公休の最低日数は年間で52日(53日)と定められています。(これは「法定休日」に準じます)
ただし原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけないとも決まっているため、もしも公休が最低ラインの日数だった場合は1日の労働時間が短くなります。
1年間を52週とした場合、1週間につき40時間働くと年間で2,080時間の労働時間になります。365日のうち52日が休みになりますから、働くのは313日。2,080時間を313日で割ると「1日あたり6.65時間」と、なかなか中途半端かつ短い労働時間になります。
あまり現実的ではないため、実際にはもっと多くの公休数を設定する企業が大多数になります。
(参考:厚生労働省「労働時間・休日」)
公休の平均日数
年間の公休日数は平均で「116.0日」です。
根拠は厚生労働省が実施した『令和2年就労条件総合調査』の労働時間制度の結果で、ここでは「労働者一人当たりの平均年間休日総数は116.0日」と公表されています。
公休の日数を重視して仕事を選ぶ際は、平均である116日を一つの基準にすると良いでしょう。
公休にまつわる制度や規定
次に、公休に関連する休日制度をご紹介します。正しい知識を持っておくと、もしかすると会社との細かなトラブルが避けられるかもしれません。ぜひ知っておいて下さい。
公休日を別の日に振り返ると「振替休日」になる
公休日が出勤になり、その代わりに出勤するはずだった日が公休になることを「休日を振り替える」と言い、その振り返られた公休は「振替休日」になります。
この場合は純粋に公休日と出勤日をチェンジする形になり、特に割増賃金や休日出勤代などは支給されません。
公休日に働くと「休日出勤」扱いになり、代休を取れる
本来公休だった日に働くと「休日出勤」の扱いになり、休日労働分の割増賃金が発生します。また、後日出勤するはずだった日を「代休」として公休にする制度もあります。
前もって振り替えていると「振替休日」に。突発的な出勤になると「休日出勤」になり、後日「代休」を取るような形になります。
ちなみに代休が取れなかったことで、月の休みが法定休日日数を下回った場合(週に1回を下回った場合)は違法になります。
公休日に「勝手に働くと」どうなるかは、就業規則による
では「公休の日に勝手に働いて割増賃金をゲットする」という行為が許されるのかというと、会社の就業規則によります。
その会社の就業規則に「時間外労働や休日労働を行う際は事前に許可を得ること」などの文面があれば、許可なき休日労働には賃金が発生しない場合があります。
(参考:キノシタ社会保険労務士事務所『勝手に行われた休日勤務』)
公休でもなんでもない日に休むと「欠勤」になる
本来出勤するはずの日に仕事に行かなかった場合は「欠勤」になり、欠勤した分の給料が引かれます。例えば風邪で行けなかった、出勤時に事故にあって行けなかった、というケースが考えられるでしょう。
しかし病気や家族の急な用事などでやむをえない事情の場合、会社によっては「年次有給休暇」を使ったり、特別休暇の制度を使ったりして「公休扱い」にしてもらえることもあります。会社に問い合わせると良いでしょう。
公休にこんなことをするのはNG!知っておきたい注意点
最後に、忙しいビジネスマンがついついやってしまいがちな、公休にまつわるNG行動をご紹介します。注意点として知っておいて下さい。
家に仕事を持ち帰って公休日に仕事をする
家に仕事を持ち帰って、公休日にも仕事をするサラリーマン。日本ではそんな光景をよく見たり聞いたりしますが、基本的にはNGです。
家に仕事を持ち帰るのを会社が容認するということは、つまり会社側が休日に労働するのを認めていることに他なりませんので、賃金が発生すべきである可能性があります。また会社に無断で仕事を持ち帰っている場合は、外部への持ち出しがどうという就業規則に違反する可能性があります。
「家に仕事を持ち帰る」というのは、会社の許可を得て休日出勤扱いなどになっていない場合、あまり良くない行為だと知っておきましょう。
公休日に職場に顔を出して、ちょっと仕事をして帰る
サービス業などでは、「店長が休みの日にお店に顔を出して少し働いて帰る」という光景も日常茶飯事です。
この場合も、少しでも働けば本来賃金が支払われなければなりません。就業規則で事前申請せずに働いてはならないという規定があるのであれば、就業規則違反になります。
公休はしっかりと休んで、次の仕事に備えましょう。
部下の公休日に電話をかけて仕事の話をする
仕事の引き継ぎがうまく行っていなかったり、取引先からの突発的な確認が入ったりすることで、公休中の部下に電話をかけて仕事の確認をするようなケースもよくあります。
しかしこれも、公休中に労働させるのと同義であるため、本来であれば部下に賃金が発生するべき事案になります。
公休は公休ですので、連絡しなくとも業務を遂行できる引き継ぎ体制を整えておくと良いでしょう。
公休に関するQ&A
まとめ
公休は、その会社の全従業員に平等に与えられた権利です。会社によって日数はマチマチですが、年間116日が平均とされており、年間120日以上あればホワイト企業だと言われています。
振替休日や代休の制度なども理解した上で、より良い休日を過ごしていきましょう。